泌尿器の疾患・症状

泌尿器の症状について

排尿に時間がかかる

残尿感があるおしっこが出るまでに時間がかかる、おしっこの勢いが弱いなどの症状がみられた際は、前立腺肥大症などの疾患の可能性があります。前立腺が肥大することで尿の通り道が狭くなることでこのような症状があらわれます。
前立腺がんでも腫瘍の増大によって同様の症状がみられる場合もあります。
また外傷や炎症後に尿道が狭窄することでこのような症状がみられることもあります。

残尿感がある

残尿感は、様々な疾患で生じる症状ですが50歳以降の男性では、前立腺肥大症によるものが多く認められます。肥大した前立腺が膀胱を刺激することや排尿が困難となる為に残尿感を感じます。前立腺がんが進行するに連れて出現する症状でもある為、しっかりと精査することも大切です。また、その他にも神経因性膀胱や膀胱炎、膀胱結石などの疾患でも残尿感を認めることがあります。

頻尿

一般的に朝起きてから就寝までに8回以上の排尿を認める場合を頻尿と言います。
頻尿の原因は様々ですが、主な原因は前立腺肥大症、過活動膀胱、尿路感染症といった良性疾患に加えて前立腺がんや膀胱がんなどの悪性疾患も考えられます。
その原因に応じた治療や対処をする必要があり、少しでも違和感がある場合は泌尿器科の受診をおすすめします。

夜中にトイレに行く

年を重ねるにつれて夜間の尿量増加や膀胱容量の減少が原因で夜間の排尿回数が増加することがあります。50歳以上の男性の場合では前立腺肥大症の初期症状として現れることもあり、また男女を問わず過活動膀胱が原因で一回あたりの尿量が少ないにも関わらず目が覚めてしまう事もあります。
糖尿病や高血圧症、心疾患でも夜間多尿を認めることがありますがその場合は基礎疾患の治療が重要になります。

前立腺肥大について

尿が出ない

膀胱に尿が溜まっているにもかかわらず排尿されない状態を尿閉といいます。
この場合、膀胱から尿が排出されないために下腹部が張った状態となります。不快感や苦痛を伴う状態である為、速やかに閉塞の解除を行うことが肝要です。
原因としては前立腺肥大症や尿道狭窄による尿の排出障害や尿道結石による嵌頓も挙げられます。その他にも、前立腺がんや膀胱腫瘍、神経因性膀胱などもが原因となることがあります。

尿が濁っている

尿が濁っている場合に考えられるのは膀胱炎などの尿路感染症です。膀胱内へ細菌が入り炎症が生じることで生じます。治療の開始が遅れると発熱が出現し悪化してしまう事もあります。初期の膀胱炎であれば抗菌薬の内服と十分な水分摂取を行うことで治療ができます。耐性菌の出現リスクを考えて抗菌薬の自己判断での投与は基本的にはお勧めできません。

膀胱炎について

尿が赤くなった

目で見て尿に血が混じっている場合を肉眼的血尿といいます。
痛みや残尿感、頻尿といった膀胱刺激症状を伴う場合は膀胱炎や膀胱結石といった良性疾患であることが多いですが血尿を認めているにも関わらず他の自覚症状に乏しい場合には膀胱や尿管といった尿路の腫瘍を考慮する必要があります。
また腫瘍が原因の血尿の場合は出たり止まったりを繰り返すことも珍しくありません。
一度でも血尿を認めた場合は受診をしましょう。

尿道からウミがでる

尿道から膿が出る場合、淋菌性尿道炎やクラミジア性尿道炎といった性感染症による尿道炎が考えられます。また、男性と比べて女性は症状に乏しい事もあります。
心配な場合はお気軽にご相談ください。

性感染症について

背中が痛い(腰背部痛)

腎臓は腰の辺りに位置している為、背部痛の原因に泌尿器疾患が該当することも珍しくはありません。
背部痛に発熱を伴う場合には急性腎盂腎炎などの感染症が考えられます。また、尿管結石の閉塞に伴う疼痛では夜間や朝方などのリラックス時間における突然の激痛が特徴的です。その他の内臓疾患や筋骨格系疾患でも背部痛を伴うことは良くあるためしっかりとした精査が大切です。当院では緊急のCT検査も実施可能ですのでご相談ください。

尿路結石について

排尿時に痛む(排尿時痛)

女性の方で排尿時に痛みが生じる場合、急性膀胱炎の可能性があります。排尿の終わりの際に痛みを感じることが多く、残尿感や頻尿といった症状を伴うこともあります。
男性の場合には尿道炎でも排尿痛や尿道違和感、尿の濁りなどの症状を認めます。
お子さまの場合には、亀頭包皮炎(亀頭にカスが溜まり、感染した状態)や大人と同様に膀胱炎などでも排尿時痛が散見されます。

排尿痛について

健診でPSA値が高いと言われた

PSAは「前立腺特異抗原:prostate specific antigen」の略語で前立腺の上皮細胞から分泌されるタンパクです。
多くは精液に分泌されますが血液中に取り込まれることもあり4ng/ml以上を超えると要受診と診断されます。
PSAが高くなる原因としては前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎等が挙げられその鑑別が大切になります。

前立腺がんの検査

尿潜血が陽性と言われた

尿潜血とは尿に血が混じっている様に見える状態です。健康診断で指摘をされて受診する方が多いのではないでしょうか。尿潜血検査では赤血球の中に存在するヘモグロビンや筋肉が破壊されて生じるミオグロビンに反応して陽性となります。
それ故に、必ずしも出血をしていなくても激しい運動後などに陽性反応が出てしまうこともあります。本当に出血が原因での陽性反応なのかを評価するためにも速やかな受診をお勧めいたします。

血尿について

精液に血が混じる

精液に血が混じる主な原因
  1. 前立腺疾患: 前立腺が炎症を起こすと、精液に血が混じることがあります。
  2. 尿路感染症: 尿路感染症が進行すると、精液に血が混じることがあります。
  3. 精巣や精索の損傷: 事故や怪我によって生じた損傷が原因で、精液に血が混じることがあります。
  4. 性行為や摩擦による損傷: 強い性行為や摩擦が原因で、一時的に精液に血が混じることがあります。
注意すべきポイント
  1. 一時的なものか継続的なものか: 一時的に血が混じる場合もありますが、継続的に続く場合は早めに医師に相談しましょう。
  2. 他の症状の有無: 血尿、痛み、発熱など他の症状が同時に現れる場合は、医師に報告することが重要です。

精液に血が混じることは、原因によっては一過性である場合もありますが、継続する場合は医師に相談することが大切です。健康に関する不安や質問があれば、遠慮せずに医師にご相談ください。

睾丸や陰嚢が腫れた

腫れた睾丸や陰嚢は、男性の健康に関わる問題の一つです。その主な原因や症状、そして注意すべきポイントについて説明いたします。

主な原因
  1. 感染症(精巣上体炎、精巣炎など):睾丸やその周囲の組織に感染が生じると、炎症が引き起こされ、腫れや赤みが現れることがあります。
  2. 精索静脈瘤: 精索内の血管が拡張し、腫れや痛みを引き起こすことがあります。
  3. 精巣捻転: 睾丸が回転し、血流が阻害されることで急激な痛みと腫れが生じることがあります。
  4. ヘルニア: 腹腔内の組織が陰嚢に突き出てしまうことで、腫れが生じることがあります。
症状
  • 睾丸や陰嚢の腫れ
  • 痛みや圧迫感
  • 赤みや発熱
  • 尿道からの異常な分泌物
注意すべきポイント
  1. 早期の診断と治療が重要: 腫れや痛みが現れた場合は、早めに医師に相談しましょう。早期の診断と治療が問題の進行を防ぐのに役立ちます。
  2. 精巣捻転には緊急の対応が必要: 睾丸の急激な腫れや激しい痛みがある場合、即座に医療機関を受診してください。可及的速やかな捻転の解除が求められます。手を用いた整復が困難な場合は手術を要します。
  3. 悪性腫瘍の可能性も考慮: 腫れが長期間続く場合や他の症状と併発する場合は、悪性腫瘍の可能性も考慮されます。専門医の診断が不可欠です。

患者さん自身が異常を感じた場合は、恐れずに医師に相談することが重要です。早期の対応が問題解決への第一歩となります。どんな症状でも、お気軽にご相談ください。

おりものが多い

おりものの主な原因
  1. 周期的な変化: 月経周期や排卵期におりものの量が増えることがあります。
  2. ホルモンの変化: 妊娠、更年期、避妊薬の使用など、ホルモンバランスの変化がおりものの増加に関与することがあります。
  3. 感染症: カンジダ菌や細菌感染などが原因でおりものが増えることがあります。
  4. ストレスや疲労: 心身のストレスや疲労がおりものに影響を与え、増加させることがあります。
おりものの正常な特徴
  • おりものは通常、透明または白濁しており、無臭または淡い香りがします。
  • 健康な女性は通常、月経周期やホルモンの変化によっておりものの量や性状が変化することを経験します。
注意すべきポイント
  1. 異常な臭いや色: おりものが異常な臭いや異常な色を呈する場合、感染症の可能性があります。
  2. かゆみや痛み: おりものにかゆみや痛みを伴う場合、感染症やアレルギーが関与している可能性があります。
  3. 異常な出血: おりものに血液が混じる場合、異常な出血の原因となる可能性があります。

泌尿器の疾患について

前立腺肥大症

前立腺は男性特有の生殖器の一つです。前立腺液という精液の一部を分泌することで精子に栄養を供給し精子を保護する役割を担っています。
前立腺肥大症は膀胱の出口と接する前立腺が肥大化することで尿道が圧迫されて頻尿や排尿困難などの排尿障害を引き起こす病気です。
前立腺肥大は30歳代から始まり年齢とともに患者数は増加。とりわけ60歳では6割の方が罹患されているとされます。
前立腺が肥大する原因はまだはっきりとは解明されていませんが男性ホルモンが関与しているとされ、年齢を重ねるにつれて男性ホルモンの環境に変化が生じることが一因とされています。また、メタボリックシンドロームとの関係も示唆されており生活習慣病の予防に配慮した食生活を送ることも大切です。
治療の基本は薬物治療であり、尿道の圧迫を抑える薬を投与することで治療を行います。薬物治療で十分な効果が得られない場合や急性前立腺炎などの感染症を繰り返す場合には外科的治療にて前立腺の縮小を検討することもあります。

前立腺炎

前立腺炎とは、前立腺組織に何らかの原因で炎症が起きる病気です。
前立腺の炎症により発熱や排尿時の痛み、排尿困難、頻尿などの症状が生じます。
また前立腺炎は細菌感染により急激に症状が出現する「急性細菌性前立腺炎」、同じく細菌感染が原因で徐々に症状が発生し繰り返し起こる「慢性細菌性前立腺炎」、細菌感染がなく発生する「慢性非細菌性前立腺炎」に分類されます。
細菌感染以外の原因としては、長時間のデスクワークや運転などで骨盤内の血流が低下することが可能性として指摘されております。
とりわけ急性前立腺炎では症状が進行すると、発熱や悪寒を伴う尿閉症状が出現することもあり早期の治療をおすすめします。
多くの場合は抗菌薬の内服や点滴にて治癒が望めますが膿瘍化(膿が溜まってしまうこと)すると切開しての排膿処置を要することもあります。

腎不全

腎不全とは腎臓の糸球体や尿細管の機能が破綻することで腎臓の働きが悪くなる病態です。腎不全では尿による老廃物の排泄能が低下し、体内の水分量や塩分量など体液バランスを調節することができなくなります。また腎臓で作られるホルモン分泌が悪化すると体の至る所において調節機能が低下することもあります。
また腎臓の機能は一度、低下してしまうと回復することが難しく慢性腎不全に至ってしまうこともあります。初期の段階では自覚症状は少なく健康診断等で尿や血液検査をした際に初めて指摘されることも多いです。
腎機能の低下が進んでいくとタンパク尿や血尿、浮腫、倦怠感、貧血といった症状を認めます。
末期腎不全では腎代替療法として透析療法や腎移植を検討する必要がある為、早い段階での食事療法や薬物療法の介入によって慢性腎不全の進行を予防することが大切になります。
なお急性腎不全の場合は原因を取り除くことで腎機能が回復する見込みがあります。

尿路感染症

尿路感染症とは 尿路に細菌が侵入し、増殖することで炎症を起こした状態を言います。感染部位によって膀胱炎と腎盂腎炎に分類されます。 細菌は尿道の出口から侵入することで膀胱内に炎症を起こし、頻尿や残尿感、排尿時痛といった症状を認めることがありますが発熱することはありません。しかし、膀胱内の細菌が尿管をさかのぼって腎臓にまで達してしまうと発熱を伴う腎盂腎炎に至ることもあり注意が必要です。
一般的に膀胱炎は、尿道が短いことで細菌が容易に膀胱へ到達し易いという理由で女性に好発する病気とされています。
治療の基本は抗菌薬の投与と飲水励行といった生活指導になります。

男性更年期障害

加齢に伴う男性ホルモンの低下によって意欲の喪失、不安、憂鬱、集中力・認知能力の低下といった精神症状や倦怠感、関節痛、内臓脂肪の増加、睡眠障害といった身体症状、性機能障害(性欲減退、勃起障害、射精感の消失)などに影響が生じる病態です。女性は50歳頃の閉経前後に女性ホルモンの低下が生じますが男性の場合はそのスピードは個人差が大きく40歳以降のどの年代でも起こり得ます。
問診を踏まえて採血検査にて遊離テストステロンを測定し基準を満たした際には生活指導に加えテストステロン補充療法や漢方薬療法を提案することがあります。
テストステロン補充療法は肝機能障害や多血症、睡眠時無呼吸症候群の増悪といった副作用を誘発する可能性があるため定期的な検査も併せて実施することがあります。

※テストステロンの値は日中変動がありますので、午前中に採血することが適しています。検査をご希望される方は、午前中の早い時間にご受診下さい。(午前の診療開始時間は9:00からとなっております。)

 

骨盤臓器脱

出産や加齢などにより骨盤底の筋肉が緩み膀胱や子宮、直腸、膣などが膣口から出て来てしまう病態を言います。
とりわけ膀胱が飛び出してしまう膀胱瘤では膀胱が敏感になることで頻尿になったり更に進行することで逆に残尿感が出現することがあります。
骨盤臓器脱では特効薬なく、ダイエットや骨盤底筋群を鍛えるトレーニング、ペッサリーという膣に入れて膀胱などを支えるシリコン素材の装具治療がありますが標準的な治療は手術(ロボット支援下仙骨膣固定術)になります。近隣の医療機関と連携しての治療を提供いたします。

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