生活習慣病

生活習慣病とは

生活習慣病とは運動や食事、睡眠、飲酒、喫煙といった日々の生活習慣が深く関与して発症する病気の総称です。
昨今、『人生100年時代』という言葉が言われて久しく、私たちの人生は学校で物事を学ぶ教育の時期や仕事に邁進する時期、そして会社を退いた後の引退の時期といった型にはめるには幾分窮屈で、これからは引退後も続く人生に彩りを加える『人生のマルチステージ化』が活力の源になり得るようです。
そして、それは”健康”の基盤が保証されることでより実りある物に繋がるのではないでしょうか。

生活習慣を見直すことで予防・改善が可能

生活習慣病は初期の段階では自覚症状に乏しいことが珍しくありません。したがって日頃から定期的な身体のメンテナンスが大切になってきます。
定期検診を受けることや日々の生活習慣を見直す(適度な運動、バランスの取れた食生活、禁煙)ことで心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気のリスクを下げる事が大切になります。
当院では、「かかりつけ医」としての役割を果たすべく生活習慣病の改善に努めていきます。健康診断結果にご不安がある場合などもご相談いただけますので、お気軽にご連絡ください。

こんな方に受診をおすすめしています

  • 健診や人間ドックで検査数値の異常を指摘された方
  • 肥満(20歳の時に比べて体重が10kg以上増えている)の方
  • 喫煙習慣がある方
  • お酒を飲む機会が多い方
  • 運動習慣がない方
  • 移動はほとんど車で、歩く機会が少ない方
  • ストレスが多い方
  • 睡眠時間が不足している方
  • 夜遅い時間に食事をすることがある方
  • 食事の時間が不規則な方
  • 濃い味付けが好きな方
  • 野菜や果物をあまり食べない方

など

代表的な生活習慣病

2型糖尿病

2型糖尿病は肥満や生活習慣の乱れ、遺伝、ストレスなどが原因となってインスリンの分泌がうまくいかなくなったり(インスリン分泌障害)、インスリンが効きにくくなったり(インスリン抵抗性)することで発症します。なお国内の糖尿病患者のうち95%以上が2型糖尿病に該当するとされています。
糖尿病は様々な合併症の発症リスクがあります。例えば失明のリスクもある「糖尿病網膜症」や、末期腎不全に至ることもある「糖尿病性腎症」、不整脈、立ちくらみなど様々な症状を引き起こす「糖尿病神経障害」を発症するリスクがあります。さらに脳梗塞や心筋梗塞といった血管の病気を併発することもあり注意が必要です。
2型糖尿病の治療では食事療法や運動療法が非常に大切となります。血糖値を上手にコントロールして合併症を予防することで末長く健康な生活を送ることが可能となります。なお食事や運動でコントロールが難しい場合には内服薬やインスリン療法による治療をご案内しております。

高血圧

高血圧は喫煙と並んで、日本人の生活習慣病死亡に最も大きく影響する原因の一つです。日本人の4人に1人は高血圧と考えられており、とりわけ60歳以上では約半数の方が該当するとも言われています。
日本高血圧学会が発表している高血圧診断基準によると診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。また、家庭での血圧測定の場合は、診察室よりも5mmHg低い基準が用いられます。
高血圧の患者さんの約90%は本態性高血圧と言われ遺伝的な原因に加えて塩分の過剰摂取、ストレス、肥満、運動不足、喫煙などの生活習慣も関わっているとされています。まずは生活習慣の改善を提案させて頂きますが効果が不十分の場合は薬物療法を導入することもあります。
また内分泌ホルモンや腎臓、脳・中枢神経の異常が原因となりうる二次性高血圧の場合はその原疾患の治療を行うことも大切となります。各種検査にて疑わしき場合には専門医療機関と連携しての治療を提案させて頂きます。

脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症とは血液中の脂質の値が基準値から外れた状態のことを言います。具体的にはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)の血中濃度を計測し判断します。コレステロールは細胞を構成する成分の一つであり身体にとって必要不可欠なものです。しかし食生活の欧米化や過食、運動不足などといった生活習慣の乱れが原因となり脂質の異常を認める方が増えてきております。
脂質異常症そのものでは取り立てて自覚症状に現れることはありませんが放置すると動脈硬化が進行していきます。最悪の場合には急性心筋梗塞、脳梗塞などの命に関わる病気につながる恐れもあるため注意が必要です。
脂質異常症の治療は、食事療法と運動療法が中心となります。薬物療法は、食事療法と運動療法を行っても改善されない場合に検討します。

高尿酸血症(痛風)

高尿酸血症はプリン体が分解される際に生じる尿酸が過剰に産生されたり尿中へ排泄される量が減少することで血液の中の濃度が高くなる状態を言います。
血液中の尿酸値の基準として7mg/dlを超えると高尿酸血症の診断となります。特に尿酸値を上げてしまう食材には肉(レバーなどの内臓系の部位)や魚卵、ビールなどのアルコール、清涼飲料水といった我々の生活に身近な物も少なくありません。
尿酸値が高い状態が続くと関節の中に尿酸が沈着して炎症を起こして痛みが現れることがあります。この状態を痛風発作と呼びます。また高尿酸血症は尿路結石、高血圧、メタボリックシンドローム、糖尿病などをしばしば併発するため注意が必要です。
治療法としてはアルコールやお肉のレバー、魚の干物などを過剰には摂取をしない様に努める事とカロリー制限が大切になります。それでも尿酸値が高過ぎる場合には尿酸生成抑制薬や尿酸排泄促進薬を処方します。急激に尿酸値を下げしてしまうと痛風発作を起こすこともありますので少しずつ下げていくことが大切です。

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)

メタボリックシンドロームはお腹の内臓の周りに脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満に高血糖、高血圧、脂質異常のうちいずれか2つ以上を併せもった状態をいいます。メタボリックシンドロームの診断基準は腹囲が男性で85cm以上、女性で90㎝以上。これに加えて血圧、血糖値、血中脂質値のうち2つ以上が異常を示すことです。
メタボリックシンドロームは高血圧・糖尿病などの生活習慣病やそれに付随する動脈硬化のリスクが高い危険な状態です。その他にも高尿酸血症や腎臓病の発症につながることもあるため食事療法や運動療法を中心に行い体重・血圧・血糖値などを管理していくことが大切になります。

心筋梗塞・脳血管障害リスクを上昇させる

メタボリックシンドロームを放置すると体内では動脈硬化が進み急性心筋梗塞、脳梗塞などの命に関わる病気につながる恐れもあるため注意が必要です。動脈硬化は自覚症状がほとんど出ないため深刻な事態が起きてはじめて気づくケースも珍しくないため定期的な健康のチェックが肝要です。

メタボリックシンドロームの判断基準

必須項目
内臓脂肪型肥満 ウエスト周囲径 (おへその高さで測定)
男性 ≧85cm
女性 ≧90cm
選択項目
高トリグリセライド血症: ≧150mg/dL かつ/または
低HDLコレステロール血症: <40mg/dL
収縮期(最大)血圧:≧130mmHg かつ/または
拡張期(最小)血圧: ≧85mmHg
空腹時高血糖:≧110mg/dL

動脈硬化

動脈硬化は、動脈が徐々に硬くなり、血管内に脂質やカルシウムが蓄積する状態を指します。これは、血管の内側が炎症を起こし、プラークと呼ばれる異常な物質が堆積することから生じます。この状態が進行すると、血管が狭くなり、血流が阻害される可能性が高まります。

動脈硬化の主な原因
  1. 高血圧: 高血圧は動脈に余分な負担をかけ、壁に損傷を引き起こす可能性があります。
  2. 高コレステロール: 高コレステロールのレベルが高いと、動脈壁に脂質が蓄積しやすくなります。
  3. 喫煙: タバコの中に含まれる有害物質が血管を損傷し、動脈硬化を促進する可能性があります。
  4. 糖尿病: 高血糖は血管の壁に損傷を引き起こし、動脈硬化を進行させる要因となります。
動脈硬化の症状

初期段階では症状がほとんどないことがありますが、進行すると以下のような症状が現れる可能性があります:

  • 狭心症や心筋梗塞による胸痛や圧迫感
  • 頭痛や眩暈
  • 下肢の疼痛やしびれ
  • 末梢動脈疾患による冷えや足の痛み
動脈硬化の予防と管理
  1. 健康な生活習慣: 健康的な食事、適切な運動、禁煙は動脈硬化の予防に役立ちます。
  2. 定期的な健康診断: 血圧やコレステロール、血糖の定期的なモニタリングは早期発見と管理につながります。
  3. 医師の指示に従う: 高血圧や高コレステロールの治療薬の服用、糖尿病の管理など、医師の指示に従うことが重要です。
まとめ

動脈硬化は進行性の疾患であり、早期発見と予防が重要です。健康な生活習慣の維持により、動脈硬化の進行を遅らせ、心血管疾患のリスクを軽減できるよう頑張りましょう。

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