過活動膀胱

過活動膀胱について

過活動膀胱とは、膀胱が過敏になり、膀胱に尿が溜まっていない状態でも本人の意思と関係なく、膀胱が収縮して、頻尿、夜間頻尿、切迫性尿失禁などの症状を伴う症候群です。

男女ともに年齢を重ねるにつれて発症率は上がっていき、40歳以上では8人に1人の割合で、国内の患者さんの合計数は約800万人と推定されています。
ただデリケートな問題ということもあって、該当する患者さんの受診率は20%台となっており、女性の方は10%を切っているというのが現状です。
当院では患者さんのプライバシーを遵守し、症状に合った最適な治療を提供いたしますので安心してご来院ください。

過活動膀胱の症状

尿意切迫感

突然尿意を感じてしまい、漏れそうで我慢できない状態を指します。
原因は膀胱の異常収縮というよりも膀胱の知覚が過剰に敏感になることで中枢神経における排尿コントロール障害が起きていると考えられております。

頻尿・夜間頻尿

1日の排尿回数が過剰であったり、夜間におしっこをしたくて起きてしまうような症状を「頻尿・夜間頻尿」と言います。
個人差はありますが、一般的に1日に8回以上、夜間に1回以上排尿回数があれば頻尿が疑われます。

切迫性尿失禁

必ずしも診断に必須の症状ではありませんが、突然尿意を感じて我慢できずに漏らしてしまうような症状を指します。
過活動膀胱の症状は、過活動膀胱症状質問票(OABSS)という問診票を使いスコアを算出することで客観的に診断および重症度を診断できます。

過活動膀胱の原因

過活動膀胱には、脳と膀胱(尿道)を結ぶ神経に障害が生じることで泌尿のコントロールが上手くできなくなる「神経因性過活動膀胱」と、それ以外の原因で起こる「非神経因性過活動膀胱」があります。

神経因性過活動膀胱

排尿は、中枢神経から脊髄、末梢神経へと指示を出してスムーズに行えます。
この神経系のどこかで障害などが起きてしまい、排尿のコントロールが上手くできずに突然の強い尿意を感じるような症状を神経因性過活動膀胱と言います。
主な原因としては、脳血管障害やパーキンソン病など脳疾患によって起こるものと、脊髄損傷や多発性硬化症などの脊髄疾患によって起こるもの、糖尿病に伴う末梢神経障害によるものなどに大別されます。

非神経因性過活動膀胱

男性では前立腺肥大症に伴う膀胱出口部の閉塞やテストステロン(男性ホルモン)の低下、女性では骨盤臓器脱やエストロゲン(女性ホルモン)の減少、また男女共通の原因としては膀胱の加齢・慢性炎症やストレスなどによる自律神経系の乱れなどが挙げられます。

過活動膀胱の診断

診断において最も大切なのは問診になります。日常生活にどの程度の支障があるのか、日々の生活様式や他に治療中の病気のことなど、できるだけ具体的にお話を伺うことが適切な診断や治療につながります。
また、問診をする際に「過活動膀胱問診表(OABSS)」というものを使うことがあります。
OABSSは、患者さんの排尿状態に関する複数の症状を総合的に評価し、スコアによって過活動膀胱の診断や重症度の判定に用いるだけでなく治療前後の点数の変化で効果判定にも利用できます。

過活動膀胱診断問診表(OABSS)

尿検査

膀胱炎などの尿路感染症でも過活動膀の症状に似た尿意切迫感を認めることがあるため尿検査も行います。

腹部エコ―検査

排尿後における膀胱に残っている尿(残尿)の量を測定すると共に膀胱の形態、膀胱腫瘍や結石の有無などを調べます。

尿流測定(ウロフロメトリー)

尿の勢いを測る検査です。普段通りに測定装置のついたトイレで排尿をしてもらうことで1回の排尿にかかる時間や尿量、尿勢、排尿のパターンなどを評価します。

過活動膀胱の治療

生活習慣の改善

規則正しい食生活や過剰な水分・カフェイン・アルコール摂取の抑制を行うことで症状改善が期待できます。
また、外出時は尿意を感じたらなるべく早めにトイレに行く、トイレの位置を事前に確認しておくなど切迫性尿失禁の症状に慌てないで済むような行動や準備も大切です。

膀胱訓練

膀胱訓練は尿を我慢させることによって尿がたまる前に尿意を催してしまう症状を改善する方法です。通常は少しずつ排尿間隔を延長することで膀胱容量を増大させます。
定時に排尿を促す定時排尿や、医療スタッフや介護者が排尿の動機を作ることで排尿を促す排尿促進法も有効とされていますが、膀胱炎などの尿路感染症になりやすい患者さんには適さないこともありますのでご相談ください。

骨盤底筋体操

骨盤底筋体操は骨盤底筋を意図的に収縮させる訓練です。腹圧性尿失禁の治療でも用いられますが尿意切迫感の改善にも有効です。
10回を1セットとして1日のうちに3~5セット出来るのが理想です。効果に即効性はありませんが、日々の継続から効果が得られます。(もしマンツーマンでの体操レッスンをご希望の場合は、私の前の職場である我孫子東邦病院において専門の理学療法士によるプログラムにて相談も可能なため、お気軽にお声掛けください。)

過活動膀胱

  1. 背筋をまっすぐに座りましょう
  2. 身体の力を抜いて
  3. 脚は肩幅程度に開きます
  4. おへその下辺りに力を入れるイメージで肛門もしくは膣をキュッと締めましょう
  5. 5秒数えたら力を抜いてリラックスです


また、肥満によって過度にお腹に脂肪がつくと膀胱を圧迫して頻尿や尿失禁の原因となるだけでなく、骨盤底筋群自体を緩ませてしまうため適切な体重を維持することも大切です

薬物療法

過活動膀胱の治療の根幹は薬物療法になります。
抗コリン薬(内服薬、貼り薬)やβ3受容体作動薬(内服薬)といった薬剤が有用性や安全性が確立された治療になります。
ただし副作用を考慮して投薬の可否を検討することも肝要です。
例えば、抗コリン薬の使用にあたっては全身のムスカリン受容体の遮断作用に伴う口腔内乾燥や便秘といった消化器症状、認知機能障害、縮瞳に伴う視力調節障害などが出現することもされます。β3受容体作動薬は口腔内乾燥や便秘をほとんど認めないことが利点ではありますが薬剤の種類によっては循環器への影響として動悸を認める事もあり重篤な心疾患がある患者さんでは使用できない事もあります。
また、双方の薬剤に言及出来る事ですが、過活動膀胱の背景に前立腺肥大症も合併していると上記の薬剤の投与だけでは改善しないどころか、尿が出にくくなり排出障害を悪化させてしまう事もあり、前立腺肥大症の治療も併せて行うことが大切となります。
それぞれの患者さんに併せた治療計画を策定いたしますので気兼ねなくご相談ください。

ボツリヌス毒素膀胱壁注入療法

薬物療法やトレーニングで回復を中々見込めない「難治性過活動膀胱」の患者さんに適応となる2020年4月より健康保険適応となった比較的新しい治療法です。
ボツリヌス毒素を膀胱の壁に内視鏡を用いて注入することで膀胱の筋肉の収縮を抑制し
尿意切迫感や尿失禁、頻尿を改善するとされています。施術後2日頃から効果が出現し1日の尿失禁は平均3.6回程度改善し、3割弱の患者さんにおいては完全に消失するとされています。ただし、時間経過とともに効果は減弱し、半年程度で再投与を検討する必要性があります。
また、残尿が多い方や閉鎖隅角緑内障、喘息などの慢性呼吸器疾患のある方、妊娠中・授乳中の方などには使用ができません。
治療費用は年齢や所得によって変わりますが3割負担の患者さんで約6万円となります。
当院の外来にて実施可能な施術ですのでご相談ください。

TOPへ